創作曲のできるまで 「ブンナ」を創る |
第14回 指揮者から見た「ブンナの冒険」
指揮者である。
名は既にある。
どこで生まれたか頓と見当がつかない。何でも教覚寺本堂の縁ノ下で ニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 昭和時代半ばのことである。 (本文とは関係ありません)
先に出来てきた曲に比べて「ブンナの冒険」は根岸圭さんの個性が出ています。 練習を始めるにあたって、どんなふうに考えましたか?第1印象としては、そんなに扱いにくい曲とは思いませんでした。シナリオ作成時の曲への注文は「行進曲を希望」でした。 圭さんは変拍子の行進曲を書いたつもりでいるようで、 少なくとも行進曲ということを否定しません。 行進曲ですか?行進曲ではないでしょう。でも、“行進曲風”とはいえますね。舞台演出として合唱団が行進しながら歌うということも想定できました。このアイデアについては?実際に歩くことの出来る行進曲ではありません。3連符を歌うのに苦労しました。指揮するほうは、もっと大変だったと思いますが、いかが?確かに苦労しました。でも、練習しながら、8分音符と3連符の違いを 明確にすればするほど、 不自然な音楽になっていくような気もしました。
作曲者が、言葉を自然に表現できるように符割りしているのであるなら、 この曲について、この際言っておきたいことは?この曲で特筆すべきことは、本番間際になって、なんとしても動きが必要であることに気づき、 的確な指導を受けて*、それなりの効果を引き出すことが できた ということでしょう。あれはクリーンヒットでしたね。
*20周年記念演奏会のもうひとつの演目「カルミナ ブラーナ」でバレエを担当してくださった |