第19回 椎の木のてっぺん・その1
第2曲は、3つの部分で構成された曲。しかし、
最終的にそうなるまでには曲折がありました。
椎の木のてっぺんが鳶のエサの貯蓄場所で、
そこに集められた動物は“新鮮保存”のために
逃げられない程度に痛めつけられて生かされ
巣へ運ばれる順番を待っている。
登場動物たちが置かれている状況を
説明しなければならない歌でした。
歌詞作りは難航しました。
そうしたなか、担当者たちに募った案の中に
異色の発想をしたものがあり
それは以下のようなものでした。
当時の運営委員長ブンさんの提案です。
冬眠に入るブンナが過去のことを考えてる場面が原作にある。
それぞれの個性をむき出しにして、後悔したり、懺悔したり、
自分だけ生きようとブンナを身代わりにしようとしたり、闘争したり、
また、そのことを反省したり、そして、生きる希望を見出そうとするかと思えば
生きることの一切をあきらめたり、時には生死を忘れて母親のじまんをしたりしました。
(新潮文庫版192ページ)
これをヒントに、
●後悔・懺悔●生きる希望●あきらめ
●母親の自慢●自分だけ助かる算段●反省
など6項目に関する登場動物達の言葉から歌詞を組立て
彼らの感情を“横断的”に表現したらどうでしょうか。
1.後悔・懺悔
雀…弱いもの。やっぱり生きたい。
百舌…強いものが弱いものを食う。
鼠…ずいぶん悪いことをしてきた。ばちがあたった。
へび…悪いことをしてきた。にくまれてきた。そうしなければ生きられなかった
牛がえる…人間につかまる運命なんだ。
2.生きる希望
雀…仲間がきっと助けに来てくれる。
鼠…逃げ出す。
へび…土の中にもぐる。少しでも時間をくれている方がいい。
3.あきらめ
百舌…どうせ死ぬのなら覚悟を決めようじゃないか。
鼠…ひどい傷、まあいいさ、観念したよ。
牛がえる…死ぬ時がきたと観念しよう。
4.母親の自慢
百舌…自分ひとりで生きてゆくがよいと教えた。
鼠…ろくに勉強も教えてくれなかった。
へび…言うことはつめたかったけど、じつは、あたたかいおふくろだった。
牛がえる…えさの取り方を教えてくれた。
5.自分だけが助かる算段
雀…ブンナを売る、あたしの方があとから来たよ。
百舌…先にきたやつがいるんだ。
鼠…こいつが先からきてたんだ。へびのしっぽを高く持ち上げる。
へび…鳶に持ってゆかれるのを地面の下からきいてるよ。
6.反省
雀…弱いってことは悪いことじゃないよね。
鼠…正直なやつだった。
以上を整理し、鳶の飛来を境に前半・後半に分け、
前半は、捕まったことを悔やみ・恨む言葉を原作から拾って
登場動物達4名の歌として歌詞を作りました。
作曲段階で百舌・雀・鼠の3名が採用され、第2曲の中間部となります。
後半は、巣への連行を逃れたい彼らの言葉を叫ぶことにしました。(つづく)
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