メンバーファイルＸ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　静岡混声合唱団TERRA
平成13年10月30日（火）：故ウサちゃん
む： 　今回は、ウランちゃんの話の中に出てきた、ウサちゃんです。私はすれ違いで彼女とは何も面識がありませんが、メンバーの一部の方はご存知のように、6年前交通事故で亡くなりました。そのウサちゃんのことを、今回は、皆さんから伺います。まずケイコさん、どんな方だったのですか？
ケイコ： 　感情表現がとても豊かなお嬢さんでした。美人なのに美人にありがちなツンとした雰囲気が全くなくて、少し話をすればとっても親しみやすくお茶目と言う事が、誰にもすぐにわかったんじゃないでしょうか。花にたとえると、最初は白百合と思ったけど、話してみたらひまわりって感じかな。
カミ： 　おとなしいけれど自分をしっかり持っていた人でしたね。また、芝居になるとしっかり入りこんでしまう人でした。
ウラン： 　私の第一印象は、「えっ、可愛いというか、可愛過ぎるー！！」と言うくらいかわいかったです。うさちゃんと出会えなかったテラの男性の方は・・・残念だったと思いますヨ。性格は、恥ずかしがり屋さんなのに演劇などでは大活躍するという繊細かつ大胆な女性でしたね。
ワコ： 　ウランちゃんも感じてたようだけど、初対面であんなに強い印象が残る、彼女にはオーラみたいなものがあったんじゃないかな？
チョー： 　「でしゃばる方」ではなかったよね。ウサちゃんを連れてきたワコは、仕事のすべてを掌握したい人なんだと思うけど、それとは対照的に、仕事の主役をつとめたい人という感じかな？
む： 　たとえが悪いけど、社長とエリートサラリーマンの違いかな？それに可愛かったんだ！チョーさん写真ある？
チョー： 　あるよ。お葬式の後、ウサちゃんのお母さんにウサちゃんの映っているビデオを編集してコピー差し上げたよ。演奏会のビデオにも映ってるから見れるよ。
カミ： 　家を探せばきっと出てくるよ。
む： 　今度見せて〜！ところでワコはどこでウサちゃんと知り合ったんですか？
ワコ： 　ウサちゃんが大学1年、私が社会人1年目の時、ＯＢとして大学に遊びに行った時稽古中のウサちゃんを初めて見ました。まだ、芝居もぎこちなかったですが、一生懸命さだけは伝わってきた。それに美人で存在感もあったので、人一倍目立ってましたよ。
む： 　それで、ＴＥＲＲＡに入って来たのは、どんなキッカケ？
ワコ： 　ウサちゃんが社会人になって、ゴールデンウィークに突然彼女から電話があったんです。「シェイクスピア劇部の後輩です。覚えていますか？実は演劇のことじゃなく、私も合唱をやりたいな？と思って。」と思いがけない電話に驚いたんだけど・・・。
む： 　合唱で何かをしたかったのかな？
ワコ： 　ミュージカルをやりたかったんじゃないかな？そんなこと聞いた覚えがあります。
む： 　ところで、ＴＥＲＲＡはみんなをニックネームで呼んでいるんですけど、ウサちゃんというニックネームはどこから付いたの？
ケイコ： 　初めのうちは、ワコに「タカスギー！」と苗字で、呼ばれてたのが、可愛く、美人な彼女に不似合いで不思議で面白かったですね。
ワコ： 　ＴＥＲＲＡでは、ニックネームで呼び合っていると話したら、職場（食品検査関係）で聞いてきたらしく、「同僚に相談したら白衣を着てストップウォッチをもって走りまわるのは、まるで‘不思議の国のアリス’に出てくるウサギみたいだねと言われたので、ウサギにしようかと・・・。」と言うんです。
ケイコ： 　それを聞いて、男声陣が、「不思議国のアリス」の「アリスちゃん」にしよう☆！としたら、アルト（オーちゃん：前ピアニスト）からボソッと「可愛すぎる！」と、ブーイングがでて。ウサちゃんの話からそれじゃ「ウサギちゃん」。これを短くして「ウサちゃん」になったんですよね。
む： 　そうだったんですか？名前とは全く違うし、なぜ？と思っていたんです。お芝居のほうでの話を聞きたいですね。
ケイコ： 　合唱より演劇の方が本格的でしたよ。島田の２５番宿という劇団のメンバーで、私も何回も見に行きましたよ。いじわるおかあさん、ニュースキャスター、亡くなる前の「柳橋物語」のおせん役は特に印象に残っています。
チョー： 　そう私も何回も行ったね。なんて言う題名だったかな〜ちょっと覚えていないけど、静岡演劇祭で、ワコが娼婦の役をやった芝居をウサちゃんと一緒に観に行った覚えもありますよ。
ケイコ： 　ウサちゃんと最後にデートした男性は、チョーさんですよね？
チョー： 　あの頃、よくみんなでいろいろ出かけてましたね。夏にも10人くらいで海に行ったりしていたからね。柳橋物語の後、演劇の場がなくなってしばらくした頃、志太地区で募集した演劇のオーディションに受かって「サッカーを題材にした演劇をするの。」と聞いたので、「サッカー知ってるの？」と聞いたら「見た事がない」というので、「それじゃ一緒に見に行こう」といって、日本平スタジアムへエスパルスのゲームを、友達を連れて4人で観に行ったんです。
　試合が終わって、駐車場で「君達がいると勝っちゃうから、今度は負けそうな試合を見に行こう！」と冗談言って別れたのが最期になってしまうなんて、考えもしませんでした。翌日ウサちゃんの死を聞いて、たいへんショックでした。「東京の劇団のオーディションに合格した。」と聞いていたので、ウサちゃん、とても残念だったでしょうね。
む： 　ＴＥＲＲＡお得意の「飲み会」なんかには参加していたの？
カミ： 　自宅が島田（静岡から電車で30分くらい）なので夜遅くまで付き合っていた、という記憶はないのよね。
ケイコ： 　でも、ウサちゃんは、「飲み会」から入団したメンバーの２代目（初代はワコ）、なんですよ！
ウラン： 　そうそう、テラデビューは合唱祭打ち上げの飲み会！ワコちゃんが連れてきたんですよね！
ワコ： 　合唱のつどいが近づいたころ「とりあえず聞きに来て☆！そのまま飲み会に出ても大丈夫だから」と話をして、印象的なＴＥＲＲＡデビューになったんです。文化会館のロビーで待ち合わせをしていたんだけど、背も高く美人でミニスカートでしょ！？「どっかのコンパニオンのお姉さん？」と男性陣が思ったのも無理ないかな。
む： 　一番印象に残っていることは？
ケイコ： 　楽しい時は本当に楽しそうに、心配事があるときは、泣きそうな声で電話がかかって来たのを覚えています。演奏会だったら、青島ひろしのマザーグースのステージの光る演技かな？
　そうそう！初めてウサちゃんの演劇「おおつごもり」を見に行った時のこと、一緒に行った当時中学生のイズミ（ケイコさんの愛娘）が、終演後、ウサちゃんには見向きもせず、共演していたかっこいい役の男性の方ばかり追いかけて、キャーキャーと騒いでいたので、「うらぎりものー。」といってウサちゃんが、イズミを追っかけまわした、という笑える話。これは彼女のお母様も覚えていてくださいました。
カミ： 　レイちゃん（ソプラノ）のつてで会社の別荘にＴＥＲＲＡの仲間で泊まりに行ったとき、みんな浴衣を持ってくることになっていたんだけど、ウサちゃんは、忘れてきちゃったんだよね。それで一緒の部屋にいた。チョーさんの妹のガンちゃん（クミのインタヴューにも出てきましたが）が「私の浴衣着せてあげる」といってみんなで着付けしてあげたんだけど、これが、ガンちゃんより良く似合うねって笑ったんだ。・・・本当に美人で可愛かったからよく似合うよね。今思えば、それが一番の想い出かな？
ウラン： 　私の想い出は、3つあって、1つ目は、初めて見たときのとってもかわいい姿。ほんと、かわいかったんですよ！　
　2つ目は、第4回演奏会の第2部での活躍。うさちゃんは少年役を演じて、私はその少年をもう一人の女性と取り合うシーンをやらせてもらい、うさちゃんから演技指導をしてもらいました。普段はパートが違うためあまり話す機会が無かったのですが、これを機に時々話すようになったんです。
　3つ目は、演劇「柳橋物語」これでうさちゃんの演劇が見られなくなってしまいました。
ワコ： 　第4回の配役は私が決めたんです。演劇をかじっていたので、迷わず決めました。役にのめりこんでやってくれました。控えめな彼女の印象がこの時から、がらっと変わった印象になったのを覚えています。
　彼女は何事にもひとつの事に徹底する性格で、演劇をする時と、ＴＥＲＲＡで活動する時と、きっちりわけていたようです。それだけそれぞれの事に、“のめりこんでいた証し”ではないでしょうか？
　残念ながら彼女の最後の舞台「柳橋物語」は、見に行けませんでした。とてもそれが心残りです。舞台を1つ踏むごとに大きくなっていった彼女ともっと演劇の話をしたかったです。
む： 　今回は皆さんに参加頂いて、ありがとうございました。今でも時々ＴＥＲＲＡの中で話題に上るウサちゃんのこと、少しはお分かりいただけたでしょうか？
　これからスゴイ活躍をする予感があっただけに、とても残念でした。ウサちゃんの遺志を少しでも汲めたらいいなと思って皆さんにインタヴューしました。
　まだ私を忘れないでと言うウサちゃんのメッセージかもしれませんね。若くしてまだこれからと言う時に逝かなければならなかったウサちゃん、まだＴＥＲＲＡは、君のことを愛しています。

　次回からは、元に戻って中心人物達の登場です。ご期待ください。
本人の顔はイラストで紹介しています。

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