bunnah
創作曲のできるまで
「ブンナ」を創る

第3回 最初のシナリオ

『ブンナ』は、ブンナが木へ登って再び木から降りてくる話です。
これに対応して組曲の構成を下記のように考えることが出来ます。

【登るまでのブンナ】
     ↓
【椎の木のてっぺんの出来事】
     ↓
【降りてきたブンナ】

【登るまでのブンナ】
椎の木のてっぺんに挑もうとする自信満々のブンナです。
元気一直線が、ちょっと鼻持ちならない奴かも。

【椎の木のてっぺんの出来事】
日帰りの小冒険に出かけたつもりが、木の上で冬を越すことになってしまう。
驚きの連続。
なかでもブンナの価値観をひっくりかえしたのは
●鳶のエサ場に集められて、ブンナにも理解できる言葉で嘆く獲物たち。
●「俺を食え」とブンナに向かって言う(でも、なぜ?)鼠。
●「死ぬのは平気」と言う(本心から?)つぐみ。
「つぐみの歌」は原作中にまとまった歌としてあるので
これを使うことになるでしょう。

【降りてきたブンナ】
テキストとして「水ぬるむ五月」だけは決まりました。
ブンナの成長ぶりをどう表すかが課題です。

以上が大枠として固まり、これをまとめたものを シナリオ第2版*とし
歌詞・作曲・演出の進捗に合わせて
改訂してゆくことにしました。

この第2版が出来たのは
作業に着手して間もない1999年5月下旬のことですが、
この段階で、最終版に盛り込まれた内容が既に出揃っています。

シナリオの改訂を重ね紆余曲折を経ながらも、
私たちは最初の構想をついに舞台で実現するでしょう。
実は作曲家も、この「最初のシナリオ」を暖めながら
曲を書き継いでいってくれたのではないか…
と思えるふしがあります。

この頃には依頼する作曲家も決まろうとしていました。
ある団員が突然呼び覚ました記憶のおかげで、
それまで未知の存在だったその人が
有力候補として登場するのです。

*シナリオ第1版は「たたき台」として提案された。



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